福知山市児童発達支援センターすきっぷ

すきっぷ

【おくむら先生の七色のひきだし】

~子どもの遊びに付き合うⅡ~

 

3歳半のA君。好きな電車をきれいに並べては寝転がって並んでいる電車を眺めています。その車を使って「競争しよう。」とスタッフがいくつか借りて走らせてみますが、綺麗に規則正しく並んだ列を乱されたことに迷惑そうな顔をし、「競争」についは目がお断りをしています。「一緒に遊んでくれるならきれいに並んだこの車を一緒に眺めて、心地よさに共感してよね。」とでも言いたそうです。

 

そうなんです。多くの子どもは玩具の車を走らせごっこ遊びをしたり、競争させて遊ぶことを楽しみます。同じ車の玩具でもA君の楽しみ方はきれいに並べて遊ぶこと。「車は走らせて遊ぶもの。」という強い印象があり、その楽しみ方しか知らない他者はA君の遊びの楽しさを共有することがなかなかできません。でもA君は車を並べて遊ぶのが好きなのです。私はこのような場面に出会った時、この「好き」を超える好きな遊び方をA君に紹介しようとするなら、まず関わる自分がA君の「好き」の理解を超えて好きになり楽しめるようになる努力をします。A君の世界に入り込み楽しさを共有することでコミュニケーションが取れることもあります。それをきっかけに「この人となら。」という関係性が生まれ徐々に多数派の世界にも興味を示してくれるようになることもあります。どんな特性があったとしても信頼関係を作るきっかけは「自分の好きな遊びに付き合ってくれる人」から始まるのではないでしょうか。

5歳の元気なB君。いつも元気に動き回っています。長く座っているとお尻がむずむずしてきます。感覚欲求を満たすために動き、刺激を求めて動き、時には強く物に触れるため触ったものが倒れてしまいます。「あぁあぶなかったね。」と胸をなでおろすことも。だからこそちょっとした環境の変化に気づき、友だちの様子の変化に気づき、気づいたら体が動いています(困っている友だちを助けています)。元気いっぱいのA君に付き合うのは大変です。若いスタッフのように跳んだり走ったり、体を動かす遊びを一緒に楽しみたいところですが・・・。悲しいかな体がついていきません。でもあきらめるわけにはいかないのです。

体が動かないなら、手を動かそう、耳を動かそう、目を動かそう、頭を動かそう。A君が興味を示し楽しめるポイントは「速さ」と「強さ」。隙間を開けて建てた衝立の隙間から一瞬見える絵カードの絵が何だったか答えるゲームをしました。答えはブーブークッションを強く叩いてからしか答えることができないルールにします。B君が好きな「叩く」「押す」行為を合目的に設定しほめてもらえる動きにします。B君はしっかり視線を集中させて思いきりブーブークッションを叩きます。嬉々として遊ぶ姿に私も気分が高揚してきます。この楽しい遊びの共有が信頼関係を育み、行動コントロールや感情のコントロールへの声かけに役立つと考えています。

子どもの「好き」にとことん付き合ってみませんか。