おくむら先生の七色のひきだし

すきっぷ

 

【お月見をしませんか?】

まだまだ暑い日が続いていますが、2学期は始まりました。
それでも昨日の夜窓から差し込む明るい光をたどって空を見上げると満月に近い月がくっきり夜空に浮かび、コオロギの鳴き声と共に秋の気配を感じることができました。

人は躓いたり悩んだりすると、ふと懐かしい風景を思い出したり、見たくなったり、懐かしい人に会いたくなったりします。そしてそうすることで何となくエネルギー(肯定感)を回復し前を向いてがんばれたという経験はありませんか?

 

『きょう、おばあちゃんとふろたきをしました。
ぼくはこやから木をもってきて、おばあちゃんにわたしました。

おばあちゃんにわたすときそげがささって「いたっ。」と言いました。

おばあちゃんは手でそげをぬいてくれました。

ちくちくしていたかったです。

ちがでておばあちゃんがよもぎのはっぱでおさえてくれました。
おばあちゃんが、木をいれたらパチパチといって火がもえました。
おふろがあつくなりました。
おばあちゃんが「ありがとう。」といってくれました。』

この作文は、30年ほど前、私が教師時代に担任をしていた1年生の子どもが書いた日記です。この子の中に落とし込まれたこの風景、おばあちゃんの優しい笑顔、火が燃える音や匂い、心の動きはきっと今を生きる彼を無意識に支えてくれていると思います。

 

このように何気ない日常から得られたなんとも言えない幸福感(情動)が風景や体験のエピソード(原風景)とともに記憶の中に落とし込まれ、原体験・原風景として蓄積され人格形成に大きくかかわるとするならば、子どもたちに身近で短時間で作り出せる「ほっと」する「HOT」な体験、心の財産つくりをさせてあげてあげたいと思います。

 

今年、中秋の名月は9月25日、ちょうど満月の日になるようです。
自然の四季折々の変化を家族で楽しんでみてください。