おくむら先生の七色のひきだし

すきっぷ

 

「うちの子言葉がおそくて・・・。」

 

最近、早期に(1歳過ぎから)「言葉が遅いのでは?」と悩んだり不安に思ったりして相談に来られるお父さん、お母さんは少なくありません。

言葉は子どもの表現として分かりやすいので、「ママ」とか「パパ」とか「ワンワン」とか他の子どもは言えるのにとなんとなく不安になられるのでしょう。

そこで、今回は『ことばの育ち』についてシリーズ2「ことばの育ちを支える心の育ち」についてお伝えします。

 

 

シリーズ2 「ことばの育ちを支える心の育ち」

「ことば」の獲得と活用を支えるのは、からだ(脳幹)とこころ(大脳辺縁系)です。

言語聴覚士の中川信子先生はこの仕組みを鏡餅で分かりやすく説明しておられます。

 

 

「心の育ち」に安心感、基本的信頼感が大切なことはシリーズ1でも触れましたが、これは乳幼児期から助けを求めれば必ず応じてもらえる、助けてもらえる経験を積むことで心の中に定着していきます。

 

「甘やかしでは?」と不安になる事もあるのですが、寄り添うことが大切です。その先に挑戦があり「失敗しても再チャレンジする強い心」が育ちます。

 

その心の育ちをベースに体験する事や、感動がコミュニケーション意欲を育て発語につながっていきます。そして学童期の伝える力や豊かなコミュニケーション力にも影響します。

 

 

 

例えばすきっぷの療育の場面ではよく「シーツぶらんこ」をして遊びます。

 

 

子どもたちは単純に揺れる感覚だけを楽しんでいるのではなく、心地よい感覚を作り出してくれるおとなと一緒にこの心地よさ(快適情動)を共有することを楽しんでいるのです。

 

ですから「おしまいね。」と下におろすと、「もっと」という要求を表情やしぐさ、言葉で伝えてくれます。この伝えたい思いと必然性が言葉という伝達手段に結び付いていくのだと思います。

 

 

また、療育でも終わりの会に絵本を一冊読みます。

 

 

なかなか絵本に興味を示さない子どもでも、友だちの反応につられて絵本を見たりつぶやいたり、ついつい席に座っていられず絵本の近くまで行って確かめてみたくなる。

そんな場面にもたくさん出会います。

 

子ども達は絵本の世界に入りこみ間接的ではありますがイメージの中でいろいろな体験をしていると言えます。

 

年中児・年長児になれば、お家の人や先生に読んでもらう言葉を自分なりにイメージしながら絵本の絵を動かして楽しんでいるのだと思います。

 

絵本は想像力を育みます。

絵本での間接的な共通体験を元に会話をすることで、より語彙理解力が高まります。

 

しかし、これは付帯効果であり絵本の読み聞かせの良さは読み手と聞き手が一緒に楽しい間接的な体験を共有することで、情緒を安定させ情操を育むことだと思います。

 

子どもの興味関心に合った絵本にぜひ出会わせてあげてほしいと思います。